秩父神社・三峰神社と並び、「秩父三山」と称される宝登山。現在でも多くの参拝者、崇敬者によって、秩父地方の信仰の拠点となっています。秩父盆地の入り口にあたる場所に位置している宝登山は、神奈備型をした流麗な山容を呈しており、自然が作り出した美しさをかもしだしています。そうした流麗な山を、古代の人々が「神が住まう山」とみなしたのは、当然のことと言えるのではないでしょうか。本来の信仰の拠点は、山頂に祀られている奥宮ですが、近代になり参詣者の増大に伴い、参拝の便をはかることを目的に、ご祭神が山麓に分祀され、長瀞駅から数分の場所に里宮が設けられました。
このように考えると、本来の宝登山信仰の拠点は山頂であることから、山麓の里宮をお参りするだけでは十分ではないと考えられます。そこで宝登山神社の神々の御神徳の恩恵に授かるためにも、里宮を参拝後、境内奥にある山麓駅からロープウェーに乗車し、数分の空の旅を楽しんだ後、山頂駅でロープウェーを下車してみましょう。蝋梅が植えられている山の斜面を登りつめた鎮守の森の奥に、宝登山信仰の中枢である奥宮が鎮座しています。ここまで自分の足で登り、静かな神域で手を合わせることによって、神々は私たちの願いをきっと聞き届けてくれることと思います。なお、山頂にはトイレも売店もありますので、登山・参拝ののちは、景色のいい山頂でのんびりとした時間を過ごすこともできます。